【37セカンズ】
障害のあることに目を背けず、真正面から描いた映画。そして、「障害者と性」がきっかけとなった映画。
身体に障がいを抱えてしまった貴田ユマが、これまでの自分の世界から脱するため、夢と直感だけを信じて、道を切り開いていく物語。
史上初ベルリン映画祭2冠!の実力をご覧あれ。
↑↑この監督のインタビューもすごい良かった。
失敗することが怖くて「どこにも行かない」と言っていたら、そこ止まりなんです。自分の直観を信じていったら、扉は開いていきます。
映画を通じて、自分のモットーとしていることを伝えていきたいし、若い人たちに希望を与えられたらいいですね。「世界はいいものだよ」と伝えたいです。
監督のメッセージはすごい伝わるシーンばかり。あまり紹介するとネタバレもありそうなので後はリンクから読んでみてください。
僕は映画の概要も観ることなく、37セカンズの意味もわからず視聴したのですが前情報は全然必要なし!しっぽりと映画に浸れます。
ここからも少しネタバレあり↓↓↓
とはいうものの、実は
最初の15分くらいは感情を揺さぶられて観るのをやめようかとも考えた。
反対にここが僕の悪いところでもあり、観たくないことには目をそむけようとしていたのかもしれない。「これは映画なんだ!」と自分に言い聞かせなが観たのを覚えています。
それでも印象に残った3つのシーンをご紹介
1,冒頭で母とお風呂に入るシーン
2,仕事のパートナーを応援しにいった時
3,食事の時に「レモン?」と質問した時
この3つは特に印象に残りました。一つずつご紹介。
1,冒頭で母とお風呂に入るシーン
これ、画面の一部を切り取ったわけではありません。全画面。
このシーンのどこが印象に残ったのかと言うと、
主人公であるはずの娘が中心ではなく、母が中心のショット。彼女の人生において「母が中心となって生きている」を1枚で表現している。服を脱ぐのも、体を洗うことも、そして湯船に浸かるときでさえ母が中心なのだ。母にとってはもちろん手助けのつもりだか、娘からするとむしろ後ろから羽交い締めにされているような感覚なのだろう。
※実をいうとこのシーンは観終わってから、もう一度ざっと観かえしたときに震えたシーンでもある。(あああああああっ・・・・ってなった。)
2,仕事のパートナーを応援しにいった時
少しわかりにくいのだが、女の子と主人公(マユ)の間にはガラスの壁がある。マユの仕事のパートナーがイベントをしていて応援しに来た時。
普段はなにげなく会話しているパートナーは人気者となり、容易には近づけない。
それだけではなく、会話すらままならない。
そんな二人の社会的、身体的な立場を如実に表していると考えざるを得ない。
透明ガラスが見えない壁のようなもの、そして
それはとてつもなく薄く、見ないようで、とてつもなく厚い壁。
3,食事の時に「レモン?」と質問した時
ここまで読み進めた人に対してネタバレを気にすることもないだろう。
家出をして、居候している時に一緒に生活している介護士の男性がうどんにレモンをかけて食べているのを「レモン?」と質問するシーン。
自分の家にいたら母親が用意してくれた食事を、そのまま食べることが普通の彼女。
塩をかけたり、七味で辛くしたり、ソースを追加したり、ましてやレモンなど選択肢にまったくないのである。それはシーン1でも紹介したとおり、母が中心の生活だったから。
そんな彼女がレモンをかける、そのたった一つの行動も新鮮で新しい。そしてレモンをかけたうどんを食べて彼女は笑うのである。「美味しい。」と。
以上、僕が印象に残ったシーンでした!!